なんで今どき一人で考えて一人で作ったりしてるの？
「ファッション・ブランドのマーチャンダイザーしてたんなら、もっと効率のいいことをすれば」
と私はよく言われるのですが、とどのつまり好きなのです。
いろいろ考えたり作ったりするのが。
そうしている時は心がワクワクしてゴクラクなのです。

日本は価格競争によって生産効率だけが追い求められ、
衣・食・工・農・エネルギーなど生活に必要な多くのものを
アジアなどの貨幣価値の低い国に頼る国になってしまいました。
ファッション業界でも優秀な職人さんや技術者の方が高齢化し、
かといって若い担い手も育たず、
また、生産拠点が海外に移り、日本での会社経営も厳しくなっています。

私がニットデザイナーをしていた1980年頃、
山形県のある家内工業のニット工場へ発注に行くと、
まずはどうぞと奥様は炬燵のある居間でお茶と土地の漬け物を出していただいたものです。
ふと見るとその炬燵の脇で作られていたのはケンゾーのパリコレの華やかなニットでした。
また、別の工場では最新の機械でイッセイ・ミヤケのパリコレ用のユニークなニットを作っていました。
そこの社長も技術の方も、そのことにとても誇りをもっておられました。
当時、日本の至るところでアルティザンが生き生きと活動していました。
　でも、今はそんな幸せな時代ではなく、低迷する経済の影響で競争が激しくなり、
いつしか豆腐屋が豆腐を作り、パン屋がパンを作っているだけではやっていけない時代になってしまいました。
でも、こんな時代だからか私は「作って売る」という基本的な形にこだわりたいのです。

量産ブランドや店舗販売のリスクや経費を除外したところで、
シンプルなお客様とのつながりを持てるのがオンラインショップのいいところかなと思っています。
ハンドメイドなので確かに時間もかかりますが、楽しみと愛をこめて・・・
そして今日もジャカジャカ　ミシンデバッグ♪